原料肉を選択するに当たり一番大事なのは、その肉が美味しいペルシュウになることができるか見極めることです。美味しいペルシュウができる可能性が100%としたときに、100%の可能性を持った原料肉であれば、100%美味しいペルシュウを造る可能性があります。しかし原料肉の段階で80%であれば、どんなに技術や思いを注いでも、80%を超えることはあり得ません。
その肉の形、肉質や色、脂の質、脂の厚さ、原料肉自体の持つ質感、水分など、様々なチェックポイントがあります。現地職人の間では昔から「パルマハムが美味しくできる理由の一番は原料肉がよいかどうか」と言われおり、ここで間違った選択をしてしまうと、美味しいペルシュウができる可能性が限りなく低くなってしまいます。
可能な限り、生きている状態の豚から選抜し、豚に極力ストレスを与えないようにします。また、ちょっとした打ち身や、足を滑らせるなど肉離れのようなものが起きてしまうと、肉の内部で内出血ができ、それが長い熟成の間に大きな血判のようになり、品質低下の原因となってしまうので、豚の扱いは本当に重要な作業です。当然のことながら豚が素直に言うことを聞いてくれるわけではありませんので、農家さんにとっても大変面倒な作業ですが、ご理解をいただきながら、健康状態、形、重量などを吟味し、最高の豚を選ばせてもらっています。