塩漬が終わった後、熟成乾燥へと進みます。
ここで大事なのは、その時その時に肉がどういう状態であるかを見極め、肉がどういう状態を望んでいるかを把握することです。その時の天候、温度、湿度、風の状態などを確認し、肉が心地の良い状態を作ることにより、乾燥、熟成が良い具合に進んでいくのです。ゆっくり過ぎず、急ぎすぎず、いつでも最高の状態を作ることが最も重要です。パルマハム工場にはcustode(直訳すると‘守り神‘の意)と呼ばれる管理人が必ず住んでいます。これはパルマハムの管理が24時間体制で、1日たりとも休めないからです。私達Bon Dabonでも同様に、洞戸工場敷地内に常時滞在しており、ちょっとした異常もすぐわかるように管理しています。
熟成乾燥期は乾燥を中心に行われます。個人的なイメージでは、眠りにつく前のリラックスタイムといったところでしょうか。最初の塩振りから数えて大体7ヶ月前後(もちろんそれぞれの肉によって違いはあります)に、内部の水分量がちょうどよい具合になるように調整します。言い換えれば、この時期に合うように、ゆっくりと適量の水分を抜いていくということです。
この時を見計らって、豚の背脂と米粉、微量の塩とコショウを混ぜたものを皮と脂以外の部分に塗布します。これは乾燥を徐々に押さえていくためです。このときに必ず意識しなければいけないのは、熟成段階の肉もしっかりと呼吸をするということです。肉のどの部分で呼吸をするのか、水分の出入りをするのかをしっかりと見極め、気持ちよく眠りにつかせるということが最も重要です。