日本の豚で大丈夫なの?大変よく聞かれる質問です。
パルマハムの原料肉は、パルマハム協会で設けられた様々な基準をクリアーしていなければなりません。衛生基準などをクリアーした指定農場があり、定められた餌、肥育法、肥育月数、生体重量などの様々な基準をクリアーして、初めてパルマハムの原料肉として認められるのです。大きな特徴としては9か月以上の肥育で、生体重150kg以上、そして決められた量のホエー(乳清…チーズを作る時に出る余った水分)を決められた時期に与えるということです。ゆっくりと時間をかけ、大きく脂ののった豚が美味しいという考えが根付いているからです。ただ、この基準を通ったからといって全てが美味しいパルマハムになるわけではありません。そこからさらに、パルマハムとしてしっかりとした製品が出来る原料肉を、職人の目で選りすぐっていくわけです。
日本には格付け制度があり、ほとんどの場合その重量、背脂肪の厚さのみで豚の格付け(値段)が決定します。肉質が良いものや脂質が良いものであっても規定外の大きさであれば格が上がることは基本的にはありません。上限が定められており、大きく育ってしまった豚、脂ののりすぎてしまった豚などは等外となり、格段に値段が落ちてしまうのです。この格付けに見合う豚を育てようとすると、6か月前後の肥育で生体重量110kg位の豚になります。
あくまでも私が個人的に感じていることですが、日本での美味しい肉の評価は「柔らかい」、「臭くない」、「ジューシー」というものが多いようです。これとは対照的にパルマでは「しっかりした歯ごたえ」があり、「噛めば噛むほど味が出て」、「肉の香りがしっかりとしたもの」が評価の高い肉でした。
この現状の中で私が出した結論は、日本で美味しいペルシュウの製造は可能だということです。もちろん今すぐに100%満足いく製品が出来上がるとは思いません。しかし、中濃ミート事業協同組合を中心に存在する、本当に美味しいものを追求していこうという探究心、現状に満足することなく、さらに上を目指していこうという職人魂。もちろん市場性を度外視するわけにはいきませんが、独自の格付けを施すなど、美味しい豚を造ろうとする農家さんと供に、前に進んでいこうとしています。
たくさんの人の豚に対するこの思いがあるからこそ、必ず美味しいペルシュウが出来上がる、そう言い切れるのです。